
27~28日の日程で静岡県西部を訪問していた天皇と皇后。2人は浜松市内の「外国人学習支援センター」を訪問したのだが、「安倍政権への皮肉か」との臆測を呼んでいる。“奴隷拡大”との悪名高い入管法改正案が国会で大論争となっているからだ。
天皇、皇后は支援センターで、外国人らに対し「どうぞ日本で幸せにお過ごしください」と言葉をかけ、日本人ボランティアらを「(外国人の)日本での滞在が楽しいものになるよう、皆さんのご努力が大事ですね」などと激励したという。
「もともと、両陛下は7月に私的旅行でご訪問される予定でしたが、西日本豪雨の影響で延期になりました。その後、9月ごろに宮内庁から、両陛下が7月の行程を基本に私的旅行で静岡をご訪問されるという旨の話があったのです」(静岡県秘書課)
要するに災害が理由でこのタイミングの視察になり、入管法改正の議論と偶然重なったわけだが、天皇が私的旅行という“プライベート”を利用して支援センターを訪れたことに変わりはない。政治ジャーナリストの泉宏氏がこう言う。
「今の政治に対する他意はないと思いますが、私的な旅行なので、支援センター訪問に両陛下の意向が反映されているのは確かです。来年4月末に退位する両陛下の意思を宮内庁としても最大限尊重しているのでしょう」
■「インパクトは大きい」
最低賃金割れや長時間の違法労働を強いられた技能実習生らが国会で待遇の悲惨さを訴えても、安倍政権はガン無視。つまり、天皇、皇后の外国人らをねぎらう“お言葉”が安倍政権への牽制と受け止められても不思議ではないのだ。聖学院大教授の石川裕一郎氏(憲法・フランス法)がこう言う。
「憲法上、天皇が国政に関わることは禁止されています。私的な旅行とはいえ、国会で入管法改正の議論がされている時に外国人支援センターを訪れたのは、天皇として憲法違反になるかならないかのギリギリの行為でしょう。天皇、皇后の言葉には、技能実習生らを人間扱いしてこなかった行政に対するアンチテーゼが読み取れます。外国人労働者を受け入れる側の心構えを発したともとれるメッセージで、政治へのインパクトは大きいでしょう」
これまで数々の悪法を強行採決してきた安倍首相のことだ、天皇の意思なんて知ったこっちゃないか。
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